「男の魅力、女の魅力」
カレンダーも1枚になりました。
今年も余すところ1ヶ月足らず。
終わりよければすべて良しです。
驕らず、挫けず、最後まで…。
先月某日のこと。
某有名大学の男子学生が足を運んでくれました。
どこから見てもイケメン男子です。
「よろしくお願いします」
「珈琲は如何ですか?」
「お願いします」
丁寧過ぎる態度にわたしも緊張。
ついつい丁寧な言葉になります。
「この珈琲はモカですか?」
「そうですけど。珈琲に詳しいんですね」
「珈琲ソムリエの資格を持っています」
彼のウンチクを聞きながら、しばしの珈琲談義。
珈琲タイムは鑑定時間にカウントされないことをお知らせして鑑定開始です。
「ところで今日は何を鑑定されますか?」
「ボクの運勢ではなく、一般論で結構ですから、男の魅力、女の魅力を端的に教えて欲しいのです」
ン?――珍しいというか、初めての質問です。
「多くの方の人生を鑑てきた先生なら、ギュッと『凝縮した哲学』をお持ちだろうと思います。これからの僕の人生のために是非、教えてください」
リクエストされたのは個別の問題ではなく「凝縮した哲学」。――難問です。
とはいえ、ここで怯んでは鑑定士のプライドが許しません(笑)。
「魅力というのは、あくまで客観的な評価です。ですから人によって異なるものです。『蓼食う虫も~』、『あばたも~』というたとえもあるように、これだ!という絶対的なものはありません」
「そうですよね。きらら先生のお考えで結構です」
「わたしは、『女の魅力』というのは、①怒った顔がかわいくて、②中年以降になっても、すれ違った高校生が思わず振り返るような女性、と定義しています」
「なるほど、なるほど。よく笑顔がかわいい女性だなんて言われますが、笑顔が可愛くない女性なんて、ほとんどいませんものねえ(笑)。でも②には、相当な想像力が必要ですよね(笑)」
息子というより、ややもすると孫世代の男の子に相槌を打たれて複雑な気持ちです。
「『男の魅力』は、ぜいたくだけど『気は優しくて力持ち』の一語に尽きると思っています。でも、強すぎてもダメ、優しすぎてもダメ。つまるところ、バランスの問題だけどね」
「フムフム。なるほどなあ」
頷きながら真剣にメモを取っています。
「よく分かりました。――とすると、今のボクに欠けているのは強さですね。よし、明日からは強さを身につけるように努力します。自分自身で強くなったと思えたら、またお邪魔します」
最後は21歳の大学生の顔です。
「頑張ってね」
「はい。ありがとうございます。失礼します!」