「人生は二毛作」

今年も余すところ50日足らず。

あなたの1年の「総決算」は黒字? 赤字?

黒字だった人は来年も今年以上の黒字に、赤字だった人は黒字になるように…。

来年の計は年末に在り!――ファイト~一発!

某月某日、天気・雨。

「ごめんください」
リクルートスーツで身を固めた大学生と思しき青年です。

「はい。どうぞお入りください」
「突然ですみません。表の看板を見て…」

恋愛? それとも就職?

「珈琲がいい? それともほうじ茶? 紅茶もあるわよ」
「喉がカラカラなので、とりあえずお水を…」
美味しそうにコップの水を飲み干しました。
「ふ~っ! 占いは初めてです。就職で迷っています」

聞けば、誰もが知る有名大学に在籍中とか。

まずは、予断を排するために、型通りに生年月日をお伺いして、「職業運」を鑑定させて戴きました。
「今年の職業運は大強運。希望の会社はどこも合格するはずだけど…」
「これまで4社にエントリー。そのうち3社から内定を戴きました」
「それで何を悩んでいるの?」
「内定をもらったのは銀行と商社、それと広告代理店なのですが、どの会社にすればいいか…」

3社とも優良会社。贅沢な悩みです。

「銀行勤務の父は銀行に入れと言うし、母は祖父が広告代理店の役員だったので広告代理店が良いと言うし…」

わたしの鑑定では銀行は×。広告代理店は△、商社が◎です。

「あなた自身は?」
「僕は商社に入りたいと思っているのですが…」
「ご両親の意見はともかく、あなたの人生はあなたのもの。自分の人生は自分で決めるぐらいの気迫を持たなきゃ」
「あのう、先生の鑑定ではどこが良いと?」
「あなたにピッタリなのは商社。次に広告代理店。最悪なのが銀行です」
「やったあ!」
「職業運にあなたの性格を加味すれば、商社が一番です。なかでも食糧分野というか、穀物部門なんか最適だわよ」
「先生って凄いね。僕の卒論のテーマは、『日本の食糧問題』なんです。――でも、どうして、そんなことまで分かるんですか?」
「わたしが凄いのじゃなくて、四柱推命が凄いのよ(笑)」
「そうなんですか?」
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「でも、これからの時代は、定年まで居られると思っていたら大間違い。いわば『人生は2毛作』。――業種を問わず、終身雇用が”遺物”になるだろうし、オーバーではなく賞味期限は40代まで。特に銀行なんか、その最たる業種で、支店長になるのも至難の業なんだから大変よ。それを乗り越えるためには、それまでにいかに多くのスキルを身につけるか。他社からリクルートされるぐらいの実力をつけなくちゃ取り残されるわよ」

「同じことをゼミの先生も言ってました。――きらら先生は、まるで大学の教授みたいですね」

「それは、それは光栄です(笑)。――現代は時代の大きな曲がり角。昨日の常識は、明日の非常識ぐらいの心構えで頑張ってよ。日本の未来は、あなたたち若い人の双肩に掛かっているんだから」

「何だか勇気が湧いてきました。先生に会えてよかったです」

「入社はゴールでなく出発点。気張ってくださいね(笑)」

「ありがとうございました」

きらら(11/14)