「“ふたり女将”が誕生しました!!」

5032682374_0b0c328857晴れも良し、雨もまた良し!――花瓶に紫陽花の花を活けていた時、予約時間より30分も早く、Nさんがお見えになりました。

Nさん「お久しぶりです。ちょっと早かった?」

きらら「気の早いNさんのことですもの、承知致しております(笑)」

Nさん「あら、きれいな紫陽花だこと。梅雨時期は、やっぱり紫陽花よね」

Nさんは、箱根の老舗旅館の女将さん。年齢はわたしよりひと回り下ですが、女将歴は30余年。彼の地では知る人ぞ知る美人女将です。

きらら「箱根は噴火騒ぎで大変じゃないの?」

Nさん「大変も大変。シーズン到来で張り切っていたのに、商売はあがったりよ(苦笑)。でも相手が、自然じゃ仕方ないわよ」

きらら「ところで、今日は何の相談? まさか箱根山の噴火が、いつ収まるのか?なんていう相談じゃないでしょうね?いくら占いでも火山のことは分からないわよ(笑)」

Nさん「わたしもそろそろ引退しようと思ってるんだけど、ふたりの娘のどちらに、わたしの跡を継がせたらいいのか?という真面目な相談よ」

お子さんは娘さんが3人。次女は、アメリカ人と結婚して現在はニューヨーク在住。
跡継ぎ候補に考えている「長女のA子さんと三女のB子さんのどちらが女将としてふさわしいか?」という難問です。

A子さんは、何度かお見えになったことがありますが、B子さんには、学生時代に一度だけしかお会いしたことがありません。

Nさん「今は、ふたりとも“女将見習い”として旅館を手伝ってくれてるんだけど、わたしの目から見て、どちらも可もなく不可もなく。ひと通りのことは出来ても、今ひとつパンチ力がないのよね」

きらら「ふたりとも若いんだもの、Nさんみたいな大ベテランから見れば、そりゃあ到らないところが多々あるのは仕方ないわよ。一朝一夕に名女将になれたら苦労しないわよ」

Nさん「それは分かっているんだけど、だからこそ、きらら先生に占って欲しいのよ」

きらら「おふたりの気持ちはどうなの?」

Nさん「両方とも、お母さんに任せるって言うのよ。ヤル気があれば、もっと積極的に『わたしが継ぎます』って言うはずなんだけど…。仲がいいのはいいんだけど、欲がないというか…。小さな組織といえども、経営となればリーダーシップがなければ困るのよねえ」

きらら「お姉ちゃんも妹さんも、補佐役として才を発揮するタイプだもんね。う~ん。ちょっと待ってね。詳しく鑑定してみるから…」

いつもは、にこやかな顔で冗談ばかり口にするNさんですが、さすがに今日は真剣な眼差しです。

きらら「素人みたいな意見だけど、旅館の場合、“ふたり女将”というのはダメなの?」

Nさん「“ふたり女将”?――聞いたことないけど、どうして?」

きらら「どちらもひとりでは100%の力を発揮できないけど、姉妹ふたりが力を合わせれば200%以上の力を出せる珍しい星の持ち主だからね」

Nさん「う~ん。姉妹で“ふたり女将”って案外いいかもね。 さすがはきらら先生!」

きらら「話題になれば宣伝にもなるんじゃないかしら?」

Nさん「そうよね。よし、帰ったら早速、ふたりに提案してみるわ」

きらら「きっと、ふたりとも喜んでOKサインを出すはずよ(笑)」

Nさん「今日は渋谷まで来た甲斐があったわ。これも箱根のお神様の思し召しかもね!」

きらら「そうそう、その意気よ。何事も前向きに、頑張って!」

 

きらら(7/6)

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