「結婚は『家柄』よりも『人柄』!!」

鯉のぼりと菜の花畑♪ 屋根より高い鯉のぼり 大きい真鯉はお父さん  小さい緋鯉は子どもたち~♪

五月晴れのG・Wです。――初夏の空にたくさんの鯉のぼりが気持ち良さそうに泳いでいます。

さて、年に一度、開かれる「能楽の会」に出席するために上京した際に、必ず足を運んでくれるのが京都にお住まいのTさんです。

Tさんとの出会いは8年前。
或る方の叙勲記念パーティに参加した折、たまたまお隣に座ったのがご縁で親しくなり、以後、毎年『きらら館』に寄ってくれる、いわば“お友達”のようなお客様です。

いつもは、相談というより近況報告や世間話に花を咲かせるのですが、数年前に、一度だけ、深刻な表情で相談を受けたことがあります。

Tさん「先生、困ったことが起きたの…。どうしたらいいか分からなくて…。きららさん以外に相談する人がいなくて、今日はよろしくお願いします」

家系を辿れば社会科の教科書にも出てくる名家の血を引くTさんが心を痛める問題とあっては、わたしも真剣にならざるを得ません。

Tさん「実は、大学を卒業したばかりの孫娘のことなんです」

きらら「ああ、2度ほど、ご一緒にお見えになった…。確か息子さんのお子さんでしたね」

Tさん「そうです。あの孫娘が、結婚したいということで連れて来たのが、20歳以上も年上の方で…」

冷静沈着なTさんらしくない早口です。

Tさん「わたし自身、主人とは10歳近く離れていますので、別に年の差があっても反対ではないのですが、24歳も違えば、まるで親子ということで、息子夫婦はもちろん、何かといえば家柄云々を口にするうるさい親戚たちが猛反対で、今や毎日が“家庭内戦争”の状態なんです」

話の口ぶりから、どうやらTさんは、お孫さんの“味方”として、わたしに“援軍”を求めてきたようです。

Tさん「お相手の方は、孫娘が卒業した大学の准教授。真面目で、人柄も良さそうなので、わたしは、今の時代、お互いが結婚したいと思うほど好きなら、『それもいいんじゃないか』と思うのですが、母親(息子の嫁)なんか頭から反対で、『結婚するなら勘当します!』とまで言う始末です」

結婚に「家柄の善し悪し」が入って来ると、一族郎党の意見が錯綜するだけに、問題は複雑になりがちです。

まずは、お相手の方とお孫さんの生年月日をお伺いして鑑定させて戴きました。

きらら「まず、お相手の方ですが、性格も温厚で、これと決めたことにはコツコツ打ち込む努力家で、まさに学者、研究者はうってつけの職業です。対照的にお孫さんは少々、勝気な半面、細かいところに良く気が付く、現代の良妻タイプです。お互いに理解しあえる柔軟さを持っており、時に夫唱婦随、時に婦唱夫随で、バランスの良い人生を送れるのではと思います。それに、ふたりとも来年は『結婚☆』が巡って来るので、周囲が反対すればするほど燃え上ってしまうような気がします」

Tさん「きらら先生、どうしたらいいでしょうか?」

きらら「わたしは、常々『結婚は家柄よりも人柄と相性』と確信していますし、今回のお相手は“三国一の花婿”と言ってもいい、お孫さんにはうってつけの方だと思いますよ」

Tさん「ちょっと失礼します。きらら先生の鑑定結果を、首を長くして待っている孫娘に電話しますので…」

(やっぱり、わたしの推測通りでした)

電話を終えたTさんが、ホッとした表情で戻って来ました。

Tさん「今のきらら先生の鑑定結果を孫娘に話したところ、お婆ちゃんからではなく、きらら先生から直接、聞きたいので、来週、お邪魔したいと言っているのですが、ご都合は如何でしょうか?」

きらら「わたしは金曜日以外なら、いつでも結構ですが…」

Tさん「突然のお願いで申し訳ありません。京都に帰り次第、上京の日を決めたうえでご連絡を差し上げます。どうかよろしくお願いします」

お孫さんの“援軍”の役目を果たした?Tさん。先程とは打って変った表情でお帰りになりましたが、そうは問屋が卸さないのが人生。――後日、思わぬ展開が待っていたのです。(続く)

きらら(5/4)

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