「原点は“子どもの幸せ”」2

mother結婚の見込みのない上司との間で宿した赤ちゃんを生むべきか、否か。

Yさんは「産みたい」と言いつつ、迷っています。

身勝手な大人の都合で振り回される赤ちゃんこそ大迷惑です。

 

「子どもはすべて天使」――子どもに関する相談を受ける場合、私が原点に置くのはこの言葉です。

 

きらら「もう一度、聞きますね。Yさんの気持ちはどうなの?」

 

Yさん「迷いはありますが、今は産みたい気持ちが強いです」

 

きらら「でも、簡単に産みたいというけれど、これからの人生、色々なことを覚悟しなくてはいけないのよ」

 

Yさん「……」

 

きらら「仮に赤ちゃんを産んだところで、お相手の方はあなたと結婚する気はなさそうだし、たとえ無理に結婚したところで、そんな卑怯未練な男とうまく行かないのは目に見えています。おそらく認知もしないだろうし、精々が手切れ金程度で“解決”しようとすると思います」

 

Yさん「そんな気がします」

 

きらら「人生はこれからよ。シングルマザーとして子どもを育てていく勇気はある? 今、あなたは自分の将来と子どもの未来の両方について、一時の感情に流されず、冷静に考えなければいけないのよ。それに子どもが大きくなって事情を知ったら、子どもは、両親のことをどう思うかしら。父親より母親を恨むかもしれないわよ」

 

Yさん「……」

 

Yさんのお腹の子どもは、既に命を持っている“母親の分身”です。

極論すれば、男性は一時的な“精子の運搬役”にすぎません。

母と子どもの関係は切り離せない絶対のものです。

その“分身の命”を中絶によって闇の世界に葬るのは許されることではありません。

しかし、感情論ではなく、現実の問題として考えた場合、Yさんの“決意”はあまりにも無謀です。

 

きらら「世の中には、色々な理由で結婚もしないで、子どもを産んで社会的に颯爽と活躍している女性もたくさんいます。でも、そんな女性の生き方は、Yさんの参考にはならないと、私は思うの。それでも敢えて無謀な人生に挑戦するというのなら、私はそれを止めようとは思わないけど」

 

Yさん「きらら先生は中絶を勧めるのですか?」

 

きらら「いいえ。私がいつも一番に考えるべきだと思っているのは『子どもの幸せ』です。お腹の赤ちゃんのために、真剣に母親としての責任と自覚についてよく考えて結論を出すべきだと言ってるの」

 

Yさん「相手を選ばなかった私にも責任がありますよね。分かりました。産むか、産まないか、もう一度、考えてから結論を出したいと思います。」

 

きらら「これからは男に泣かされるんじゃなくて、男を泣かすぐらいに強く生きなきゃ。いいわね!」

 きらら(8/4)