「人生いろいろ、幸せもいろいろ」

ring某ホテルの新年イベントで鑑定させて戴いたN県在住のBさんが、数年ぶりにお見えになりました。

Bさん「すっかりご無沙汰してしまいました。いつぞやは大変お世話になりました」

きらら「こちらこそ、お久し振りです。お元気そうで何よりです」

Bさん「お蔭様でと言いたいところですが、色々と悩み事が多くて…」

きらら「新しいものが次々に世間を凌駕しつつある時代ですもの、昭和20年代生まれにとっては、Bさんだけじゃなく、皆さん色々とありますよ」

Bさん「きらら先生には娘の結婚の際にもお世話になったのですが、今日は息子の結婚について是非、お話を聞いて戴きたくて上京して来ました」

きらら「遠いところをありがとうございます。私で良ければ何なりと…」

Bさん「実は、息子が結婚したいと連れて来たお嬢さんのことなのですが、気だても良く、美人だし、息子にはもったいないくらい申し分のない方なのですが、私が気に入らないのは、彼女がある宗教団体の熱心な信者という点です。彼女の家族も全員が信者で、これからも精力的に布教に努めるという意思が強く、息子も結婚すれば入信すると申しております。主人は内心では『困ったなあ』と悩んでいるようですが、息子に対しては面と向かって反対することが出来ず、今は私ひとりがヤキモキしている状態です。信仰は自由とはいえ、私の家庭は先祖代々の宗派を信仰していますし、どうにも認めることができません。ご先祖様にも申し訳ないし、一体、どうすればいいのか? あれこれ考え始めると夜も眠れません」

きらら「う~ん、心中お察ししますが、もう成人した息子さんが彼女を好きになり、結婚したいというのであれば、Bさん自身がその宗教団体が嫌いだという考えを振り回して、息子さんに結婚を止めさせる権利は、いくら親であってもないと私は思います。要は息子さんが『幸せ』になれるかどうかです。しかし、『幸せ』というのは各人各様です。息子さんの思う幸せと、Bさんの願う幸せが異なっているのは当然のことです。Bさんが期待する答ではないでしょうが、息子さんが決めた彼女との結婚を認めるしかないと思います。たとえ私の息子であっても結論は同じです」

Bさん「エッ、きらら先生も同じ?」

きらら「Bさんがどうあってもその宗教団体が嫌いだというのなら、親子であっても宗教上のお付き合いに限って一線を画せばいいのです。息子さんと彼女の相性を鑑定しても◎ですし、息子さんがお母様を想う気持ちも◎です。宗教が違うからといって、親子の関係が断絶するとは思えません。100%祝福する気持ちにはなれなくても、ふたりの結婚を認めてあげることで、息子さんとの距離も今まで以上に縮まるのではないでしょうか」

Bさん「まだ心の底から納得できたわけではありませんが、きらら先生に『ふたりの相性は◎』と言われたことで安心しました。今までは宗教の違いを理由に“私の息子”という気持ちが強すぎたのかもしれません」

きらら「各人各様、人生いろいろ、幸せの形もいろいろ。――若いふたりを信じて温かい目で見守って上げるのも親の務めだと思います」

きらら(6/1)