「続・元祖イクメンはオオカミ」
きらら「でも、送りオオカミっていえば…」
A先生「そもそも、狂犬病に罹っていれば別だが、オオカミが人間に危害を加えたという記録は世界中にひとつもない。みんな俗説、迷信、妄想の類いだ。それなのに、口がきけないことをいいことに、寄って集って悪者にするんだから、オオカミにすれば風評被害もいいところだ(笑)」
きらら「ついつい童話に出て来るオオカミを下敷きにして想像してしまうので、てっきり人間を襲うものだとばかり思っていました」
A先生「ただ、何の目的か分からないが、オオカミが人間の後をトコトコついてくることはよくあったらしい」
きらら「なるほど。確かに森の中を歩いていて、後ろをオオカミにストーカーされたら怖いですよね」
A先生「そらまあそうだが、オオカミにしてみれば、よく知らない癖に“見た目”だけで怖ろしい動物だ!って決めつけられるんだから、同情を禁じ得ないな(笑)。ところで、そのオオカミをアイヌ人は『カムイ』として崇めているんだ」
きらら「ヘ~ッ!…なぜオオカミが神様に?」
A先生「オオカミは畑の農作物を食い荒らすシカを獲ってくれるからだ。いわばオオカミは“畑の守り神”というわけだ。それなのに人間は、オオカミを目の仇にして、絶滅種にしてしまい、結局のところ、自然界の“連鎖”を壊してしまったんだから。…まったく人間というのは…(怒)」
きらら「なるほど。自然というのは旨く出来てるものですね」
A先生「オオカミに限らず、人間こそ“自然の破壊者”なのに、おこがましくも『自然に優しく』とか『自然との共生』なんて言ってるんだから。…動物も植物も『この偽善者め!』って思っているに違いない」
オオカミだけでなく、自然界にとって「人間」とは?…ついつい“哲学者”の気分にさせてくれたA先生のお話でした。
A先生、いつまでもお元気で。
きらら(7/8)