「めでたさも 中くらいなり おらが春」

Arakawa Yuen_31皆さん、お変わりありませんか。
「三寒四温」――桜吹雪に浮かれて風邪など引かないように気をつけてください。

さて、タイトルに掲げたのは、よくご存知の小林一茶の句です。
何ともホンワカした俳句ですが、大なり小なり「幸福とは何か?」という、誰しもが抱く“難問”に見事に答えた17文字だと思います。

人間には色々な「欲」があります。
金銭欲、出世欲、性欲、名誉欲、そして幸福欲。――人それぞれです。

しかし、「欲」ばかりに目を向けて、手段を選ばない行動に走ると、例えその欲望を満たしても、結局は身の振り方を誤ってしまいかねないどころか、心根の賤しい人間になってしまいます。

中国の思想家で『呻吟語』の著者・呂新吾はこう言っています。
「不幸のないことが、何よりも大きな幸せである。幸せを手に入れようとあくせくするのが、何よりも大きな不幸である」と。

また、呂と同じ時代に生きた洪自誠も、その著書『菜根譚』のなかで「減らすことを考えないで増やすことばかり考えている人間は、人生をがんじがらめに縛っているようなものだ」と語っています。

もちろん、ここぞと目標を決めて、一心不乱に集中することは大切です。
問題は、その際の「集中の仕方」です。
「何が何でも欲望を満たしたい。そのためにはどんな手段も厭わない」という、人の道を外した方法で獲得した「幸福」は、決してその人を「幸福」にするものではありません。

「幸福を追い求めて、不幸福を招き入れる」――望むと望まざるにかかわらず、必ずどこかで“帳尻”が合うのが人生であり、人世です。

「何事も程々に」――心を楽にして幸福を追及して下さい。

きらら(4/1)